ミクロネシアへの補償についての要請書

 12月26日、厚生労働省疾病対策課に対し、ミクロネシアへの補償についての要請を行いました。
 全国紙では、『毎日』が24日の社会面で大きく事前報道してくれました。厚生労働省への要請については、27日の『読売』が報道しました。また、富山の『北日本新聞』は共同通信の配信プラス独自の取材で報道してくれました。その他、沖縄タイムス』も報道してくれました。
 要請行動にともなって担当者と約2時間にわたって話し合うことができましたが、平行線でした。厚生労働省側の言い分は、強制隔離をおこなったことを示す公文書、すなわち、市民学会が提出した『南洋群島警察之概要』1935年版の「内地法令ヲ参酌シ其他訓牒ニヨリ取締ヲ為ス」にある「訓牒」などの公文書の存在が必要だというものでした。
 南洋群島における公文書類は戦火で焼け、一部しか残っていません。「訓牒」の類を見つけることはきわめて難しい状況です。私たちは、そうした資料保存状況を伝え、柔軟な対応を求めましたが、厚生労働省の姿勢は変わりませんでした。 厚生労働省のこうした姿勢は、ミクロネシアへの補償は永久に着手しないという意思表示に他なりません。
 ソロクトの補償に時間がかかっている理由は、隔離されたことを示す個人記録が残っていないという事情にありましたが、ミクロネシアでは状況はさら深刻です。厚生労働省は、強制隔離があったことすら認めていないのです。もし訓牒が見つかれば補償を告示すると言ってはいますが、 表面上の回答とは裏腹に見つかるはずがないという姿勢が見え隠れしており、前途は厳しいものがあります。
 ミクロネシアの問題への国民の関心が薄いのが現状ですが、 日本の海外侵略によって生じたハンセン病問題の戦争責任の追求が、韓国や台湾の問題だけに留まっては、昨年の裁判、法改正の成果は画竜点睛を欠くことになることを“忘却”すべきではありません。
 今後、資料調査を継続する一方、ソロクトの補償の一日も早い全面解決を求めることと同時に強制隔離の存在すら認めていないミクロネシアへの補償問題の重大さへの理解を広げ、 柔軟に補償せよという世論を盛り上げていく必要があると思います。

(事務局長 藤野 豊)