募金活動にお気をつけ下さい

 日本擁護救援協会と名乗る団体が、現在、5億円を目標に募金活動をしています。
 この団体は、「これまで永年に亘り、国内外においての、救済活動を続けて」きたと称しております。しかし、そうであれば、全療協を初め誰かがその団体名及び活動実態を知っていてしかるべきですが、そうした事実はまだ確認されておりません。
 7月21日付けの毎日新聞によれば、この団体の設立は今年5月でしかないはずだとされています。代表者である武部寛司氏が人権擁護や自然環境保護事業を目的として2000年に設立したNPO法人は、「電話勧誘で高額の本を勝手に送付された」という数多くの苦情により消費生活センターから立ち入り検査を受け、もうすでに解散しております。武部氏は、さらに毎日新聞の取材に対し「新聞報道を見て関心を抱いた」と答えており、基金設立の趣意書に書かれている同団体の内容は著しく事実に相違しているものです。
 また、こうした団体の活動実態だけではなく、目標としている基金の用途も具体性をまったく欠き、募金の案内には行政機関に陳情するべく50万人の署名活動も行う旨、署名用紙も同封されていますが、何を陳情するのかも書かれていません。
 さらに、検証会議の最終報告について、「提議し、かつ提言いたします」と書きながら、何を提議し、提言するのかも一切書かれていません。
 このような、ハンセン病問題に対し真摯に向き合うことのない文書によって、信頼するに値いしない団体が基金を募ると称して募金活動を行うことを見過ごすことはできないように思えます。毎日新聞は、寄付金を募る文書が全国の企業や福祉施設などに送付され、すでに寄付に応じた企業もあるとみられると伝えています。幸い、募金は「思うように集まっていない」そうですが、しかし少々でも寄付をしている個人・団体がいるという事実は、看過しえないものです。
 ハンセン病国賠訴訟に関わった原告団、弁護団だけでなく、全療協も、この団体が行っている上記募金活動とは一切関わりを持っておりません。また、全療協はすでに各支部宛に注意を喚起する文書を出していますが、ハンセン病問題に関心をもつ皆さんに広く会員として参加して頂いているハンセン病市民学会としても、会員の皆様にHPや「メールニュース」及び「ニュース」を通してこうした募金活動への注意を喚起し、かつ広く周りの方々にもお伝え頂くことをお願いすることに致しました。