図書資料部会(準備会)
「図書資料部会」設立を呼びかけます
●趣旨○資料の利用と保存
1920年以来2000年までで、ハンセン病療養所入園者執筆の書籍は1000冊を超えます。現在はさらに増えていることでしょう。またそれぞれの療養所には、先人達が収集してきた貴重な資料が残されています。それらの全貌はいまだ明らかではなく、また入園者の高齢化に伴いその保存管理をどうしていくのか、さまざまなしかも緊急を要する課題が山積しています。
多磨全生園の「ハンセン病図書館」は元会長の松本馨さんがハンセン病の終焉に向けて「患者の手によってハンセン病資料を収集して後世に残し、自分達の蒙った偏見差別、終生隔離政策が医療と福祉の名によって二度と繰り返されることのないように」という願いをこめて自治会の事業として設立したものです。しかし、この図書館も国側の施設であるハンセン病資料館の増築が完了して再開されるときには、資料をすべてハンセン病資料館に移管し閉館されることが予定されています。(移管・閉鎖は一年延期されました)
こうした問題は、近い将来、多磨全生園ばかりでなくすべての療養所で直面せざるを得ない現実です。資料の発掘、整理、利用だけでなく、その行方も大きな問題です。
○資料から何を学ぶか
予防法廃止から10年、裁判勝利から10年、ハンセン病問題の課題も入園者の運動を支援することに加え、長い間書き継がれてきた文献資料から、過酷な状況下で営まれた文学や思想、信仰などの精神的営為から人間普遍の問題について学ぶことを考えていく時期に来ていると思います。
その意味で、入園者の書きついで来た『園誌』や著作物は何ものにも代えがたい貴重な資料であり、入園者ばかりでなく我々市民の貴重な財産です。
また、啓発という意味からも、書き残された記録や作品を読むことによって、「不治」とされ、いわれのない偏見差別・終生隔離の中で、入園者達がさまざまに悩みながら人間としての高みにたどり着いていく、その道程を知ることは、偏見を除き、同情や哀れみが尊敬に変わる何よりの啓発であると考えます。
これらの作品を、限られた読者の手にのみゆだねるのではなく、いかに一般の人々に知らしめるかも大きな課題です。
○「運動」の断絶
そうした作業を進める中で気がつくことは、我々以前に実に多くの方々が、さまざまな形で患者運動にかかわり入園者とともに闘っていることです。こうした「歴史」や先人の活動を我々はきちんと継承しているのだろうか、彼らとの間に溝があるのではないかという反省があります。
歴史に無知であることは、ともすれば独善に陥りかねません。予防法の廃止も裁判の勝利もそうした先輩達の運動の積み重ねの上で、熟した木の実が落ちるように我々の手の上に落ちてきたという部分はないのでしょうか。
多様な意見に耳を傾けることもこれからの課題ではないでしょうか。
●活動
○資料整理と交流
こうした問題意識にたって、資料をよみ、資料を整理し、資料の保存を考えていきたいと思います。
また同時に図書の普及、資料の活用をはかっていきたいと考えます。
資料の中で各園の園誌については、入園者は「文藝特集号」の応募や、患者運動の中で、自園の機関誌のみでなく友園の機関誌にも積極的に執筆し交流しています。したがって、特定の個人について研究するためにも、ある問題について調査するためにも、すべての園誌を参照することが必須ですが、一箇所で全園の機関誌を読むことの出来る機関はありません。そうした渇を癒すデジタル化などによる整備について考え、提案していきたいとおもいます。
また、文献資料のみならず、より困難な時代に医療にたずさわったり入園者とともに悩み闘った先人達との交流も図っていくことも時機を失してはならない課題です。
○資料の活用セミナー
ハンセン病問題に取り組む若い人達のために、青年・学生部会と協力して資料の活用法その他のセミナーを計画しています。
○情報交換
メールングリストやホームページを開設して広く情報を公開し、また交換していきたいと思っています。
○組織や運営については、呼びかけに呼応してくださった方々と相談して進めていきたいと考えています。
【呼びかけ人】
多磨全生園・ハンセン病図書館 山下 道輔
長島愛生園 宇佐美 治
ハンセン病図書館友の会 藤巻 修一
【連絡先】
ハンセン病図書館友の会 藤巻 修一
166-0004 東京都杉並区阿佐谷南1−14−5
tel.03-5306-2088 fax.03-5306-4125
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