※分科会Aの提言について、分科会終了後、内容ではなく、誤解を招きやすい文言と説明が不足している箇所を補うようにとの修正のご意見を頂き、組織委員会に諮り、より良いものを最終案にすることに致しました。したがって、当日お配りした「提言」に一部文言の修正箇所があります。事後報告で恐縮ですが、ご了解下さい。
ハンセン病市民学会発2006年度第2号
ハンセン病回復者の医療の質と生活の質を向上するための提言
2006年5月14日
ハンセン病市民学会第2回交流集会
ハンセン病市民学会第2回交流集会
私たちは、ハンセン病市民学会第2回交流集会の場で「入所者・退所者のQOLを権利として考える」をテーマに、2001年5月の熊本地裁判決が「人生被害」と表現した、未曾有の国の差別政策を長い間受け続けてきた入所者、退所者及び非入所者が現在、置かれている医療の環境や人生の生活環境の質のあり方について、真摯な議論を重ねました。
こうした議論を受けて、次の諸点について、厚生労働省、各都道府県、各地のハンセン病療養所に真剣に取り組み、実現して頂くよう要望します。
同時にハンセン病回復者の人生被害の回復が我々市民の責任でもあることも自覚して、ハンセン病回復者とともに、回復者の医療の質と生活の質の向上に向けて取り組みます。
1. ハンセン病回復者の医療と生活の質を阻害しているものが、国の隔離政策により作り出された「隔離」と「差別偏見」であり、QOLの向上は、隔離と差別偏見及びそれによって生み出されたものへの解消に向けられること、そしてその基礎には人間の尊厳及び患者の権利がおかれること。
2. ハンセン病療養所入所者の患者としての権利を保障し、その視点から、以下の点の実現 を図ること。
1) 療養所外の医療機関で自由に受診できる制度を確立すること。同時に自己負担がな い制度の導入を併せて検討すること。
2) 療養所の医療が患者本位に行われるために、カルテを含む医療情報を開示すること。
3) 療養所に入所者がセカンドオピニオンを自由に受けられ、かつ療養所外の適切な医療機関の紹介も行うことのできる独立部門を設置し、ソーシャルワーカーにそのコーディネーターとしての地位と権限と機能を保障すること。
また、ソーシャルワーカーにの機能を保障するために外部のソーシャルワーカー団体との連携も保障すること。
3. 国には、入所者、退所者及び非入所者が、差別偏見により、医療が受けられない事態があってはならないことを確認し、ハンセン病療養所内外で最善の医療を受けられるようにする責任があり、その責任に基づき、以下の実現を図ること。
1) 国の絶対隔離政策により、ハンセン病療養所で暮らさざるを得ない入所者に最善の医療を保障するため、ハンセン病療養所におけるハンセン病医療、プライマリー医療、リハビリテーション医療、ターミナルケアの充実を図ること。
そして、この視点に立ってすべてのハンセン病療養所で、財団法人日本医療機能評価機構による外部評価を受け、その結果を尊重すること。
2) 退所者と非入所者が療養所外においてもハンセン病への誤解、偏見、差別の不安なく、安心して診療を受けるための条件整備とともに、安心して地域の医療機関にかかれ るように、ハンセン病医療支援体勢の仕組みを制度化し、ハンセン病の後遺症、再発に対する医学的知見を高め、診察・診療できる医師の養成とスキルアップを図るために、ハンセン病療養所と他医療機関との医師の人事交流を含めた連携をすること。
3) 退所者、非入所者が療養所の内外で診療を無償で受けられる制度として、医療手帳制度を導入するとともに、退所者の国立療養所における入院加療制度を確立すること。
4. 国立療養所は、医師及び職員が療養所の管理者及びその従事者として被管理者としての入所者に向き合う関係ではなく、人生被害を回復する国の法的責任に基づき、入所者の人生被害を回復するために提供する生活の場であるという認識の上に立って、入所者が療養所の主人公であり医師及び職員はその生活の質を維持・確保するためのサービス従事者であるという本来のあるべき関係となるよう、現在のあり方を全面的に見直すこと。
5. 国立療養所の将来構想については、上記の視点に立って、医療機関としての側面だけではなく、入所者一人一人が生活をする場としてのどうあるべきかに重きを置くこと。したがって、厚生労働省が現在進めつつある入所者の高齢化に対する効率的な対応のみを目指した施設の集約化は、そうした視点を欠いたものといわざるを得ず、将来構想のあり方にとって容認しがたい。そのため、早急に、原点に立ち返り、かつ福祉及び生活する場にとって相応しい建物の在り方を考える建築学の専門家など外部の有識者を入れ、国民の眼に見える開かれた場で療養所の総合的な将来構想を検討すること。
6. 退所者、非入所者の生活については、日弁連の勧告書(2005年9月28日)にあるように、各地に地方自治体との連携の下に、ハンセン病生活支援センターを設置するとともに、その機能をさらに強化すること。
以上の諸点は、いずれも改善には緊急を要するものであり、速やかに実現することを強く切望するものであることを付言しておきます。
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