ソロクト・楽生院訴訟
ハンセン病市民学会
本日、東京地裁は、韓国小鹿島更生園(以下、ソロクト)訴訟に対して、原告敗訴の判決を言い渡しました。これによって、2001年5月11日に熊本地裁が下した、ハンセン病発症者に対して行ってきた隔離政策が誤ちであったこと、重大な人権侵害があったことを認定し、国の賠償を認めた判決の成果が、今も、我が国の植民地下にあった時代、韓国において、国内と同様に隔離政策の下にあった被害者には及ばないことになります。
周知のように、熊本地裁判決の成果は、「ハンセン病補償法」の成立によって、原告のみならず、過去に一度でも日本の国立ハンセン病療養所等に入所した人すべてが国からの補償を受けられるところまで広がりました。熊本地裁判決の趣旨とハンセン病補償法の立法目的に従えば、補償の対象は日本が統治していた地域のすべての患者に及ぶのは当然のことです。本判決は、こうした至極当然の事理を認めない、不当な判決と評価せざるをえません。
また、本年3月に厚生労働省の受託業務として行われた「ハンセン病問題に関する検証会議」が提出した最終報告書においても、韓国ソロクト・台湾楽生院で行われたハンセン病発症者に対する絶対的強制隔離政策が日本の植民地政策の一翼を担うものとして行われた結果、国内にも匹敵するかそれ以上の苛烈でかつ皇民化を伴う二重の人権侵害が存在した事実が報告されています。
国が原告の方達の補償請求に応じなかったことは、こうした戦前に行ってきた旧植民地でのハンセン病政策の責任を認めないという姿勢に帰因するものです。行政訴訟とはいえ、本裁判は、事実上、日本の植民地支配の責任を問う裁判でもありました。その意味で、本判決は、そうした日本の歴史に眼を背けるものだと断じるしかありません。
私たち、ハンセン病市民学会は、本年5月の設立とともに、旧植民地時代の日本のハンセン病政策の被害を受けた皆さんの問題を国内における被害者及び家族の方達の問題と同じく、解決することをめざして交流して参りました。
国内の被害者のみを救済の対象とし旧植民地の被害者の皆さんのハンセン病被害者として当然の補償を受ける権利に背を向けることは、日本政府がハンセン病隔離政策の根幹にあった排除の論理をいまだに精算できていないことを内外に示すことに他なりません。80歳を超える方も多いことを鑑み、国は訴訟を継続することそのものが人権侵害行為であることを自覚し今すぐにでも訴訟を断念し、速やかに補償を実施すべきです。
私たちは、本判決に抗議をするとともに、国民の皆様が熊本地裁判決の際に寄せた大きな関心をもってこの裁判の帰趨を見届けて頂くことを呼びかけるものです。
併せて、再び開かれるであろう控訴審が、歴史の評価に耐えられる正しい判決を下すことを強く求めます。